- 2025年7月2日
妊娠と甲状腺の深い関係

妊娠と甲状腺ホルモンの関係は、あまり知られていないかもしれませんが、実はとても重要です。
妊娠中に甲状腺機能が低下していると、流産や早産、胎児の発育不全、さらには神経発達障害など、さまざまなリスクが高まることが知られています。
米国甲状腺学会(ATA)では、妊娠初期はTSH(甲状腺刺激ホルモン)を2.5未満に、妊娠中期には3.0未満に保つことが目標とされています。
また、甲状腺の自己免疫疾患の指標となる**抗TPO抗体(慢性甲状腺炎の一因)**が陽性であることも、妊娠転帰に影響を与える要因とされています。
不妊治療における甲状腺管理
特に体外受精(IVF)などの不妊治療を受けている方の場合、甲状腺ホルモンの管理はさらに重要です。
治療前に**TSHが高め(2.5以上)**であると、流産リスクが上昇することが報告されています。
現在の知見として、次のような点が明らかになっています:
✅ 甲状腺機能低下症では、自然妊娠か不妊治療かに関係なく、流産・早産・胎児発育不全・低出生体重・神経発達障害などのリスクが上昇する
✅ 抗TPO抗体陽性の方が体外受精を受ける場合は、TSHが正常範囲内であっても2.5未満を目指して治療することが望ましい
なお、実際の臨床現場では、抗体の有無にかかわらず、体外受精を行う場合にはTSHを2.5未満に管理する方針を取る施設も多いのが現状です。
糖尿病・甲状腺おおたけ内科クリニック
ホームページ