• 2024年11月29日
  • 2024年12月3日

最強の肥満薬

今回は糖尿病の薬の中でも減量効果のある薬(インクレチン関連薬)を紹介していきます。

インクレチンとは

インクレチンは、消化管から分泌されるホルモンで、食事摂取などにより小腸から分泌され、血糖値を下げる働きをするホルモンの総称です。インクレチンには、GLP-1とGIPの2種類があります。通常インクレチンはDPP-4という酵素により短時間で分解されてしまいます。

インクレチン関連薬

インクレチン関連薬にはDPP4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、GLP-1/GIP受容体作動薬があります。難しい言葉ですが、どの薬剤もすい臓に作用してインスリン分泌を促進することで血糖値を下げる薬剤です。

体重に与える影響

GLP-1は脳の視床下部に作用し、食欲を抑制することで、食事量を減らし、体重減少を促します。また、胃の内容物の排出を遅らせることで、満腹感を持続させる効果もあります。

GIPは当初体重を増加させると考えられていましたが、現在ではGLP-1とGIPを組み合わせると体重がより減少することがわかっています。

インクレチン関連薬の中で体重減少作用を示すものは、GLP-1受容体作動薬、GLP-1/GIP受容体作動薬の二つです。

・GLP-1受容体作動薬

トルリシティ、オゼンピック、ビクトーザなど

・GLP-1/GIP受容体作動薬

マンジャロ

中でも今回は2023年4月に発売されたマンジャロについて説明します。

マンジャロ

マンジャロは初のGLP-1/GIP受容体作動薬であり、今まで発売されてきたインクレチン関連薬と比較して多くのメリットが報告されています。

1. より強力な血糖降下作用

GLP-1とGIPの両方に作用することで、単剤療法はもちろん、経口血糖降下薬との併用療法においても、従来のGLP-1受容体作動薬よりも優れたHbA1c低下効果を示します。

下図は日本人対象の試験ですが、マンジャロ5mg以上を1年間投与した時の平均HbA1cは5%台になるという驚異の効果を認めています。ちなみに5%台というのは日本糖尿病学会の示す血糖正常化の目標値です。

2. より優れた体重減少効果

GIP受容体への作用が、食欲抑制やエネルギー消費増加に繋がり、GLP-1受容体作動薬単剤よりも有意な体重減少効果をもたらします。

マンジャロ15mgでは1年で-10.7Kgの体重減少が認められました。

3. よく効く患者さんは?

日本で行われたマンジャロの臨床試験は年齢50歳後半、糖尿病と診断されてから10年未満、肥満の患者さんが対象となっています。少なくともこの様な患者さんには大きな効果が期待できると考えています。

現在2型糖尿病に対してのみ保険適応になっておりますが、2024年11月に発表された海外の臨床試験では、肥満のある方に投与した場合、糖尿病発症リスクを90%低下させると報告されています。次回は糖尿病に関わらず肥満治療の有用性に関してお話しできればと思います。

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