- 2024年12月3日
肥満による健康被害
2024年12月2日、ウゴービに続きゼップバウンドの製造販売が日本で承認されました。
国内では二つ目の肥満症の治療薬となります。
ウゴービはすでに保険適応となっており処方が可能ですが、処方に対して厳しい基準があり大学病院など限られた施設のみで処方されているといった現状です。
以下は現時点でのウゴービの保険適応です。
高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有する肥満症があり、かつ食事療法と運動療法を行っても十分な効果が得られない人のうち、BMIが35 kg/m2以上、もしくは以下の示す肥満に関連する健康障害を2つ以上有する BMIが27 kg/m2以上の場合。
ここに記載のあるように、【肥満による健康障害】を予防するため肥満を改善する必要があります。
肥満と肥満症の定義
肥満はBMI25以上の場合を指します。
肥満に加えて、前述のような健康被害を合併した場合、肥満症と呼ばれます。
肥満による健康被害には下記のようなものがあります。
糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、心筋梗塞、脳梗塞、脂肪肝、女性不妊
睡眠時無呼吸症候群、腎臓病
肥満症のメカニズム
脂肪組織はアディポカインという物質を産生し、代謝を調整しています。
肥満状態であると、アディポカインの異常により食欲亢進、インスリン抵抗性、炎症などを引き起こし動脈硬化や臓器障害を来すと考えられています。
肥満症の治療
【肥満症診療ガイドライン2022】では現体重から3%の体重減少、高度の肥満では5-10%の体重減少を目標としていますが、高度の肥満では5-10%での体重減少では健康障害の改善が不十分であると考えられています。合併症予防のためには10%以上の減量を目指したいところです。
食事・運動療法に勝る治療はありません。しかし実際は厳格な食事管理や、忙しい中で定期的な運動をすることは難しいと感じる方も多いと思います。そのような現状では、冒頭で紹介した肥満薬の使用などは有効であると考えます。
肥満症治療に関しては現状保険診療が行き届いてはいないため、当院では保険診療が拡充されるまでは自費での処方も行う予定です。