- 2024年12月6日
糖尿病薬の副作用
今回は糖尿病薬の副作用に関して紹介していきます。
糖尿病薬の副作用としては低血糖が有名ですが、最近は体重変化が起きる薬も多いので外来受診時の体重確認は非常に大切です。
SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排泄することで血糖値を下げる薬です。心不全や腎不全を予防する効果があり多くの患者さんで使用されています。
私も、使用において問題がなければ最初に投与したい薬の一つであると考えています。
尿中に糖が排泄されると言うことは、ある程度のカロリーが排出されるため2-4Kg程度の体重減少がみられることはありますが、反動で摂取カロリーが増えるため体重が減り続けることはそこまで多くありません。
ただし、高齢の患者さんを中心に体重が減り続けてしまう人もいますので注意が必要です。
体重減少は筋肉量の低下を引き起こし、最終的には血糖管理を難しくし、患者さんの日常生活の妨げにもなりますので、そのような場合は投薬の中止を検討します。
極端な体重減少を来した例
2020年に岐阜大学からSGLT2阻害薬を使用したことにより極端な体重減少を来した症例が報告されていますので紹介します(J Diabetes Investig. 11; 745–747, 2020.)。
49歳に糖尿病と診断され、69歳からSGLT2阻害薬を開始。体重が12 か月で 40.0 kg から 29.8 kg に減少し(BMI13.5)、ケトーシスという糖が体中でうまく利用できない危険な状態となり大学病院に入院したようです。
CTスキャンでは皮下脂肪、内臓脂肪が明らかに減っているのがわかります。
糖尿病と診断されてからの期間が長い患者さんはインスリンの分泌が悪くなっている場合が多く、そのような場合この薬は特に注意が必要です。
インスリンの分泌は採血検査である程度評価することができます。