• 2025年8月20日

肥満は無呼吸の最大の原因

睡眠時無呼吸症候群とは

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は、睡眠中に上気道が繰り返し閉塞して呼吸が止まる病気です。大きないびきや日中の強い眠気の原因になるだけでなく、高血圧・心疾患・脳卒中・糖代謝異常など、全身の健康リスクを高めることが分かっています。

有病率(どれくらい多いか)

  • 一般成人では 男性3〜7%、女性2〜5% がOSASを持つと推定されています。
  • 肥満者や高齢者ではさらに高い割合になります。
  • 国や地域を問わず、アメリカ・ヨーロッパ・アジアなどで共通して認められる「世界的に普遍的な病気」です。

体重とOSASの強い関係

  • 体重増加は最も重要なリスク因子。
  • 体重が10%増えると、無呼吸低呼吸指数(AHI)は約32%上昇し、中等度〜重度OSASのリスクが6倍になることが報告されています。逆に10%の減量ではAHIが26%低下しました。

👉 つまり、「太ると悪化、痩せると改善」というシンプルで強い因果関係が存在するのです。

その他のリスク因子

  • 年齢:加齢とともに有病率は増加、特に60歳以上で高い。
  • 性別:男性は女性より2〜3倍リスクが高い。ただし閉経後の女性ではリスクが増加。
  • 人種・顔の骨格:アジア人は欧米人よりBMIが低くても重症化しやすい。顎の形や上気道の狭さが影響。
  • 遺伝要因:家族歴があるとリスク上昇。
  • 生活習慣:喫煙・飲酒は気道の狭窄を助長し、発症に関与する可能性あり。

公衆衛生上の課題

  • 実際には 70〜80%の患者が未診断 とされています。
  • 未治療のままだと、心血管疾患・糖尿病・脳卒中・死亡リスクが増加。

まとめ

  • OSASは世界的に数百万人が罹患する「生活習慣病の一つ」。
  • 肥満は最大のリスク因子であり、体重の増減が直接的に病気の進行や改善に影響します。
  • 年齢・性別・人種・遺伝・生活習慣もリスクに関与。
  • しかし多くが未診断のまま放置されており、公衆衛生的にも大きな課題となっています。

👉 OSASを防ぐ・改善するためには、**生活習慣の見直し(特に体重管理)**がもっとも効果的であり、早期の診断・治療が欠かせません。

Naresh M. Punjabi (2008) “The Epidemiology of Adult Obstructive Sleep Apnea

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