• 2026年2月2日

尿酸値と心血管疾患(CVD)

血清尿酸値は、長年「痛風の原因」というイメージが強い指標でした。しかし近年、心血管疾患(CVD)との関連が繰り返し報告され、「単なるマーカーなのか、それとも介入すべきリスク因子なのか」という議論が続いています。

2026年に入り、このテーマに関して臨床的に一歩踏み込んだデータが有名ジャーナルで報告され、改めて注目を集めています。

① 尿酸は「CVDリスクと関連する」ことはほぼ確実

過去20年以上にわたる疫学研究から、以下はほぼ共通認識になっています。

  • 血清尿酸値が高い人ほど
    • 心筋梗塞
    • 脳卒中
    • 心不全
    • 心血管死亡
      のリスクが高い
  • 高血圧・糖尿病・肥満・CKDと強く共存する

ここで常に問題になるのが、

「尿酸は原因なのか、それとも結果なのか?」

という点です。

  • 尿酸は
    • 酸化ストレス
    • 炎症
    • 内皮機能障害
      に関与する可能性が示唆されている一方で、
  • 高尿酸は
    • インスリン抵抗性
    • 腎機能低下
    • 生活習慣の乱れ
      の“反映”にすぎない可能性も否定できません。

そのため、「尿酸を下げるとCVDは減るのか?」という問いに対しては、長らく決定打がありませんでした。

② 2026年に報告された新しいデータの位置づけ

今回のポイントは「治療目標達成」という視点

2026年に報告されたデータ(JAMA Intern Med . 2026 Jan 26:e257453.)では、
従来の「尿酸値とCVDの関連」ではなく、

尿酸を“治療目標まで下げて維持できているか

という点に焦点が当てられました。

具体的には、

  • 尿酸降下療法を受けている患者集団において
  • 尿酸値を一定の目標(例:6 mg/dL未満)に達成・維持できた群
  • 達成できなかった群
    を比較し、

心血管イベント発症率に差があるか
を検討したものです。

この研究の重要な点は、

  • 単なる「高尿酸 vs 低尿酸」ではなく
  • 実臨床に近い“治療達成度”で評価している

という点です。

その結果、

  • 尿酸目標を達成していた群では
    • 心血管イベントリスクが低い
      という有意な関連が示されました。

このデータは、

  • 尿酸が
    「単なる関連マーカー」ではない可能性
  • 少なくとも
    CVDリスク層別化や包括的管理の一部として意味を持つ
    ことを示唆します。

特に、

  • 痛風や高尿酸血症を有する患者
  • すでに複数のCVDリスク因子を持つ患者
    では、尿酸管理の重要性が再評価される流れになるでしょう。

一方で、

  • 観察研究であり
  • ランダム化比較試験(RCT)ではない
  • 「尿酸を下げたこと自体」が
    CVD低下の直接原因かはまだ確定していない

という限界も明確です。

「尿酸を下げれば誰でも心臓病が防げる」

と結論は必ずしも断言できません。

③ まとめ

  • 尿酸は
    CVDの“無視できないリスクマーカー”
  • 高尿酸血症を放置すべき理由は、ますます減っている
  • ただし
    尿酸単独で治療判断する時代ではない
  • 血圧・血糖・脂質・腎機能と合わせた
    総合的リスク管理の一要素として位置づけるのが妥当

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